なんだかんだで、まだいます

アメリカで人類学を勉強するプログラムから早々に離脱した後日談

Taro君がなんでこんなに苦労しているのかを考えるために、算数の問題にしてみた

Taro君は大変な思いをしていますが、周りの人にそれを伝えようとしても何故かうまく伝わりません。「読むのが遅くて大変なんよ。」というと、たいていの人は

「誰もが苦労するから安心してよし。ダラダラずっと読んでても効率悪いから、朝ごはんをゆっくり食べてパワーを貯めてから一気にガーッと勉強。これ大事。それから疲れたらコーヒー片手に友達とおしゃべり。これ大事。」

とか、

「運動してリフレッシュするのいいよ。そしたら集中して勉強できる。あと、飲みにこうぜ!気分のリフレッシュこれ大事!」

とか、

「一人で読んでても効率悪いから、クラスメートと会って意見交換して議論してみると理解深まるで。せっかくクラスメートに恵まれてるんやから、これ有効活用せん手はないわ。これ大事やね。」

とか言ってくれます。どれもがもっともな意見ばかりで、それ自体は素晴らしいんですが、Taro君によってはどうもしっくりきません。でも、

「しっくりこないんやわ」

と話を深めようとすると、こんな当たり前のこともわからへん頑固なガリ勉君はほんまに困ったもんや、という雰囲気になります。Taro君はもやもやを抱えたまま家に帰ります。そこでTaro君は考えました。何がしっくりこないんやろう?思い立って鉛筆を手に取り、ちょっとした計算問題を解いてみました。

Taro君の聞き取り調査結果によると、この大学の人はどうやら1時間に20ページくらい文章が読めるらしいということが分かっています。例えばクラスメートのCharly君は、どこからどうみても、この大学のごくごく平均的な学生です。真面目そうで、優しそうで、おとなしくて、ちょっとだけユニークで、大学のロゴが入ったパーカーを着ています。Charly君はきっと、1時間にちょうど20ページ読んでいるに違いありません。また、Charly君はきっと、「リフレッシュする時間を作ってメリハリつけるのだいじだよ!」と言ってくれるに違いありません。

一方でTaro君自身は、1時間に3ページしか読み進められません。同じプログラムで頑張るTaro君とCharly君は、どちらも1週間に300ページの読書課題があります。1日に活動できる時間が約10時間あって、1週間で70時間あり、そのうち20時間は授業やその他のの用事に費やされるとしましょう。そうすると残る50時間が勉強時間です。300ページと50時間。ここが計算のスタート地点です。

Charly君は、もし普通にコツコツと勉強し、リフレッシュの時間を作らなかった場合、300ページ÷20ページ=15時間で読書課題を読み終えます(コツコツ頑張るモード→下の表を参照)。

まだまだ時間にゆとりがあるので、楽しみながら、リラックスして読書をしたいでしょう。そこで、数時間頑張るごとに1時間の休憩を取ることにすると、メリハリがついて読書スピードが向上し、1時間に22ページ読み進められます。300ページ÷22ページ=13.6時間で全て読み終えます。ただし合計5時間の休憩を取るので、読書時間と休憩時間を合計すると18.6時間かけて読書を終えることになります(メリハリ集中モード)。

まだまだ時間のゆとりがあるので、もっとメリハリをつけることも可能です。「メリハリ集中MAXモード」では、合計22.5時間かけて読書課題を終えることになります。

Charly君にとっては、300ページを読み終えるまでの道のりは色々と選択肢があります。無理して頑張って休憩なしでぶっちぎるか、のんびりとリラックスしながら、楽しみながら(少し長めに時間をかけて)読み終えるか。こう考えると確かに、精神衛生上、メリハリモードの方が望ましいですね。

さて一方でTaro君はどうでしょうか。

同じ計算式によって、普通にコツコツ頑張った場合には、300ページ全てを読み終えるためには100時間が必要だということになります。これは大変です。1週間は50時間しかありません。結果的にTaro君は、読書課題の約半分を、読み飛ばさざるを得ないことになります。読めるページ数は150ページです。

そこで、周りの先輩たちがオススメするようにリフレッシュタイムを確保したとしたら、効率が上がって良い成果が出るのかどうかを考えてみました。メリハリ集中モードでは、1時間に3.25ページ読み進められます。計算上は92.3時間で読み終わりますが、ただし30時間の休憩を間に挟むことになるので、合計で122.3時間が必要です。50時間の間に読めるページ数は、122ページです。コツコツ頑張るモードよりも減っています。さらにリフレッシュを重視してメリハリ集中MAXモードで読んだ場合、1時間あたりのスピードはさらに向上するものの、やはり最終的にかかる時間は増えてしまい、145.7時間が必要になります。50時間内で読めるページ数はたったの103ページです。

Charly君たち普通の学生は、「リフレッシュしながら勉強するの、これ大事。」と言いながら、どうやっても結局300ページ全てを読めています。一方でTaro君は、どうやっても300ページを読めていません。逆に、リフレッシュすればするほど、読めるページ数が減っています。Taro君にとってはもちろん、リフレッシュはできる限り抑えて、せっかく勉強しに来ているのでなるべく多くの分量を読みたいと思えてなりません。

こう考えると、Charly君たち「リフレッシュ派」と会話が噛み合わなかったことは、ごく自然です。そもそもの前提が共有できていなかったのですね。Charly君たちにとっては300ページ全てを読み終えられること前提で、その中でどんなふうに時間を過ごすかという問題。一方Taro君にとっては、300ページ全部を読み終えられないことが前提で、限られた時間の中でどれだけ多くのページを数を読むことができるかという問題。全く違う問題について話していたのです。

 

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