なんだかんだで、まだいます

人類学をやり続けるしつこさには定評がある

社会と人間

ベルリンから来る

留学生向けのワークショップ会場は、古めかしい建物のダイニングルームだった。ハリーポッターの大食堂を小さくしたような部屋である。定刻ギリギリに到着したので、一つだけ空いていた席に座る。 椅子のクッションは不自然に柔らかく沈み、背もたれは極端に…

チップは3ドルだけよ

東南アジアに行き慣れると、どこの国に行くにしても空港タクシーに身構える。ぼったくられるのではないか。トロント・ピアソン空港から市内に走るタクシーは定額制とのことだったので、認可された車両に乗りさえすれば大丈夫らしかった。 次の懸念はチップで…

トロントに入るために

マニラの空港は薄暗かった。 使途の分からない贅沢なスペースが広がっているかと思えば、逆に順路を遮るようにして手摺が備え付けられ人の流れを遮っている。どれが順路なのか分かりにくく、人を混乱させる空間である。 トランジットはこっちか? 恐る恐る進…

安田祐輔「暗闇でも走る」を読んで考える

去年の冬から、とあるベンチャー企業で仕事をさせてもらってきました。それもこの5月で契約満了で終わりとなります。 その会社の社長が本を出版したので、読みました。 honto.jp アンチ・アマゾンでhonto.jpのリンク。公告ではないです。 概要にあるとおり、…

発達障害を作るのは社会か自然か

「ハイパーアクティブ:ADHDの歴史はどう動いたか」という本を読んだ。ADHDという「障害」をめぐる科学史(医学史)の本。 ハイパーアクティブ:ADHDの歴史はどう動いたか 作者: マシュー・スミス,石坂好樹,花島綾子,村上晶郎 出版社/メーカー: 星和書店 発売…

アメリカに憧れていた高校生の夢と、人類学の本を読んだ今晩との間の距離

高校2年生のとき、アメリカかカナダの大学に行ってみようかなと真剣に考えた時期があった。英語の世界に漠然とした憧れがあって、高1の夏休み1ヶ月間バンクーバーの語学学校に通った経験も夢を膨らませた。そもそも中学に入ってから英語の勉強が趣味みた…

発達障害を自覚することは、自分を研ぎ澄ますこと。三つの具体的な、素晴らしい変化について。

自分が発達障害だと気づいた後のこの世界では、とても素晴らしいことがたくさん起きました。 「ラベルを得て安心した」というのはよくある話で、そういう段階は自分にもあった。でも本当に素晴らしいことはそこからもっと先に進んだ場所にあって、それは以前…

非行と社会について。正義のために戦っている友人たちにお願い

世間では、「アメリカ社会は自由と先進性を体現していて素晴らしい」と考えられてる。そこに絶望的な経済格差があることや人種差別の歴史をいつまでも引き摺っていることについては、世間はつい目を逸らす。美しい面に着目してそれを賞賛する。 物事の悪い面…

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