おばちゃん達に取り囲まれて迎える後半40分・0対4の危機
障害支援室から連絡が遅いから、待ちきれずに殴り込んだ。じゃぁ今話そっか、ちょうどメール書こうとしてたとこ、と。いいですよ。
この検査結果を見ると、なんか読む速度だけ氷山のクレバスみたいに極端に低くなってて、どういうことなんやら、よう分からん。これ、うちでは障害って呼んでないよ。学科への特別措置の依頼とか、だからできませーん。ていうか大体、なんでこんな低いの?問題解かずにボーッとしてたん?言語処理能力も悪くないし、数学の処理能力も悪くないし、なんも悪いとこないやん。学科に何かをお願いするなら、自分でお願いしてちょ。
とのこと。このおばちゃんが考えたのは要するに、「障害」に関して自分たち専門家が持ってる理論的パターンに当てはまらない検査結果なので、検査結果がおかしいに違いない。読むスピードだけ極端に遅いのは、障害っていう認定だけもらって楽チンしようとしてこいつがズルしたとしか考えられへん、ということのようでした。おばちゃんはこれを確信しすぎてて、こいつは悪い学生や、真実を暴いてやるぅっ!という気概に溢れすぎてて、疑いの目や態度をもはや隠そうともしない。露骨にこちらを疑う蔑みの目つきで、言葉の端々に嘘を見つけようとしてくる。
あっ目が2〜3ミリ飛び出ちゃってるな今、と感じるくらい怒ったのは、この時が人生で初めてでした。しかしただ怒っても、相手は自分なりの論理で、正当なつもりでこちらを疑ってる。論理には論理で対抗せねば。なので目を飛び出させたままで、論理明晰に反論をする。そんな芸当、なんせ初めてやったのであんまりうまくできませんでしたが、とりあえず大声を上げすぎて、部屋の外の待合室にいた人らはビビらせてやった。
僕のことを疑ってるのは、このおばちゃんだけじゃないです。このおばちゃんに入れ知恵したのは、この検査を実施した外部の心理学者やろう。あっちも、なんか嫌ったらしい顔した化粧の濃いおばちゃんやった。学科の先生らも、同様に疑ってる。この先生らも二人ともおばちゃん。(おばちゃんばっかりやん。)
幾多のおばちゃんたちは、きっとこんな風に考えてるはずです
①こいつは大学をいい成績で卒業して、ロンドンで修士号まで取っとる
②この大学院に入ってくるための審査もパスしてやって来とる
③英語の試験(TOEFL)も、リーディングは満点とか取ってやがる
④その上で今更、「読書ができないんです。えっへん。」とか吐かしてる
⑤さてはこれまでの学部・修士をズルして切り抜けて来たか、そうでなかったら今ズルして切り抜けようとしてるに違いない
⑥どちらにしてもお前は嘘つきだ!
障害支援室のおばちゃんの尋問を受けてると、あれ、いやちょっと待て、実は実際のところ僕がズルしてたんちゃうやろうか、みたいな感覚になってきました。これは危ない。冤罪はこうやって起きるんやで...。
待合室の人らをビビらせた成果があったのか、翌日には障害支援室のおばちゃんから「もうちょっと考えてみるから、TOEFLがなんでそんなに良かったんか、教えて」とのメールが来た。
最初はこの質問の意味すら正確に把握できなかったんですが、よくよく考えてみると、アメリカ人というのは日本の受験みたいなテスト地獄を体験してないので、TOEFLみたいなテストの結果は実際の能力の純然たる反映である、的なユートピアンお花畑な考えを持ってるんでしょう。そういうわけで、TOEFLなんていうものはね、おばちゃん、文章読まんで問題に答えるのがプロの仕事なんです。それが読書スピードの反映やなんていうヌルい考えでのんびり受験してて、それでアメリカ来れると思ってんのかボケッッ!!!というメールをA4で7ページくらい書いて送りつけました。こいつらほんまに世間知らずやな。自分たちの国が世界の中心やと思ってたり、そもそも自分たちの国の外に文明は存在してないと思ってたりするくせに、自分たちの国を目指して皆がどれだけ頑張ってるんかを全く知らん。
というわけで今は、おばちゃんの再検討待ち。しかしそれにしても、こんだけおばちゃん刑事さん達4人に取り囲まれたら、今後この拘置所で5年間もやってける自信は全く無くなってしまいますね。そしてそもそも、授業の数を仮に3つから2つへ減らしてもらえたとしても、読む速度が周りの人の10倍遅いもんやから、やっぱり到底無理なんちゃうかという感じは全然消えない。消えないどころか、学期末に近づいて課題をやろうとするにつれてますます強く実感する。
もうそろそろこのブログも、多分佳境です。速かったなぁー。サッカーでいうと、後半40分で0ー4、みたいな感じか。ロスタイムも入れてあと8分か9分かある!2分で1点入れるんヤーーーーッ!と頑張るか、いやいやいやいやもうエエやん。と諦めるか。その境目です今。